勉強しないで大学へ行く方法

               ー新年を迎えての雑感ー

  大学受験を指導している塾である当塾がいうのも何だが、高校生活を究極までエンジョイして、まともに勉強しないで大学へ行く方法は、ある。

 その一つはもちろん、名前を書いて入学金を払えば即合格の3流大学(最近ではfree rank 大学→Fラン大学とか、金を払えば誰でも入れることから映画館大学などと呼ぶらしいが)に推薦で行くことである。このような大学は大学とは名ばかりの行くだけ無駄な大学なのだが、国からの補助金狙いの大学当局は、定員割れによる補助金の削減が怖いのでどんな生徒でもいいから一人でも多く入学してほしいのである。だいたい私立大学の半分以上、特に地方にある私立大のほとんどはこの類の大学である。こういう大学は、高校を卒業してさえすればいいので、3年間遊び呆けていても、お金さえあれば誰でも行ける。

  もう一つのまともに勉強しないで大学へ行く方法は、運動で成績を残して推薦で行くことである(成績を残さなくても名門私大に推薦で入る方法もあるが、これは大人の世界の話なので、ここでは触れない)。大学卒業後も、うまくすれば体育教師になって、給料をもらいながら楽しく運動を続けるという幸せな人生を送ることができる。

  運動で大学を目指す生徒の高校生活は、まさに朝から晩まで運動漬けである。早暗いうちからの朝練の後は、学校の授業時間は疲労回復のための睡眠に充て、放課後は本格的練習(競技練習に筋トレ)を暗くなるまでやる(ナイター設備があれば夜10時位は普通)。これを365日×3年間、ほぼ毎日やるのである。勉強などというつまらないことをやっている時間はない。まあ、いくら頭を使わないにせよ、このような生活を3年間やり通すことは考えようによっては大したものだが、本来勉強で大学進学を目指すべき普通科高校でやるべきことではない。体育科を持った高校や実業系の高校がやることである(まあ、今では普通科というのは、実業系の科ではないという程度の意味になっているから、どうでもいいことなのかもしれないが)。

  問題は、普通科高校であるにもかかわらず、その高校全体が、運動で大学を目指す生徒だけでなく、勉強で大学を目指すはずの生徒も巻き込んで運動漬けにしてしまうことである。運動で頭も体もクタクタにして、何も考えない頭すっからかんの生徒を量産してしまうことである。そこまで生徒を運動漬けしたところで、実際は、ほとんどの生徒は、運動で大学に行ける程の成績を残すことはできず、高3の総体の県予選で1回戦負け2回戦負けして感動の涙を流して引退した後は、本来の勉強で大学を目指すしかなくなるのだが、その時点で全国の大学受験生の中における自分の位置の低さに気が付いた頃には、時すでに遅しなのである。結局は、第1グループと同じ3流大学へお金で行くことになるのである。

  更にもう1つの楽して大学へ行く方法は、馬に食わすほどの定期テストの過去問をくれる塾へ通って、その答えを丸覚えして内申点を稼ぎ、先生の覚えめでたく推薦合格を目指すことである。このような過去問丸覚え勉強の弊害は以前にも記したが、何より、ものを考えなくなること(思考力を失うこと)である。その上、このやり方は中毒性があるから、一度始めたら途中でやめることが怖くなり、結局最後までやめられなくなってしまう。こういう生徒は、自分では勉強しているつもりかも知れないが、はっきり言って、ただのあほ覚えである。まあ、中には指定校推薦を利用してまんまと大学に推薦合格していく者もあるかも知れないが、苦労して自分の頭で考える代わりに定期テストの過去問丸覚えで楽して推薦で大学へ行ってやろうと考えているようなスケベ根性の生徒は、大概において第1グループと同じ運命になるのである。

  以上のように、まともに勉強しないで大学へ入る方法もあるのだが、所詮はどれも裏ワザの類であって、本来、大学を目指す高校生が採るべき方法ではない。ちゃんとした大学へ行きたいならば、一生懸命勉強をして、正々堂々と正門から(すなわち一般入試に合格して)大学へ入っていくべきなのである。そのためには、日々の勉強から自分の頭で考えて答えを出す癖を付けなければならない。筆者の願いとしては、三観地区一番の進学校としての歴史と伝統のあるK1高には、生徒に運動ばかりさせて自分の頭で考えさせなくするのではなく、ちゃんと正しい勉強をさせて、是非一般入試で合格できるように教育してもらいたい。

勉強を したこともなく 大学へ 

2017.1.1