大学合格実績が物語るものーその2

 先ずは次の表をご覧頂きたい。

   

国公立大合格者数比較 

高校

現役A

浪人B

現浪計C

学年

定員D

A/C

%

A/D%

C/D%

入試年度

香川

 

観音寺一

51

40

91

250

56.0

20.4

36.4

H29

丸亀

138

46

192

280

71.8

49.2

68.5

H29

高松桜井

81

22

103

280

78.6

28.9

36.7

H2729の平均

三木

 

48

10

58

150

82.7

32.0

38.6

H27

愛媛

 

今治西

186

22

208

320

89.4

58.1

65.0

H29

松山南

252

14

266

360

94.7

70.0

73.8

H28

松山北

170

13

183

360

92.8

47.2

50.8

H29

八幡浜

76

6

82

160

92.6

47.5

51.2

H28

宇和島東

84

3

87

160

96.5

52.5

54.3

H29

 

 ※香川・愛媛両県のうちから偏差値的に観音寺一高の前後近くにあると思われる高校を抜粋したうえで、各高校のホームページを参考にして筆者が作成。

 

 一見してわかることは、観一高の国公立大合格者に占める現役率の低さ56.0%=浪人率の高さである(ちなみに国立大に限ると現38浪36で現役率51.3%とさらに低くなる)。国公立大合格者のうち2人に1人は浪人である。他の高校は、丸高の71.8%から宇和島東高の96.5%まで幅はあるが圧倒的に現役率が高い。もちろん、国公立大合格といっても内容はピンキリだが、この点でも観一高が他より優れているわけではまったくない。東大京大国公立大医学部は勿論のこと、その他の旧帝大ですらほとんどいない。多くは地元近辺の地方国公立大(いわゆる駅弁大学)である。その程度の国公立大に合格するのですら、2人に1人は浪人しないと合格できないのである。これらの浪人生は勿論現役時代の自分の勉強不足に主たる原因があることは言うをまたないが、しかし、考えようによっては、現在の観一高の教育力の低さ(運動ばかりさせて、まともに勉強させる風潮がない)の被害者である側面もあるといえるだろう。仮に他校並みにちゃんと教育指導を受けていたなら浪人せずに済んだかも知れないのである。費用に換算するなら、伝え聞くところによると大手予備校に授業料・寮費合わせて1人年間約200万円払うそうだが、200万×36人=7200万円が、勿論観一高補習科から合格した者もいるだろうからそれを除くとしても、まあ少なく見積もっても数千万円が、本来払う必要のない費用だったわけである。

 ただ、希望は少ないがないことはない。学年定員の占める現浪合わせた合格者の割合(C/D)は、現状36.4%とこれも最低だが、筆者が以前から言っているように、仮に定員を100人減らして150人としたとすれば60.6%と他の進学校に引けを取らない成績になる。

 塾業界では「自称進学校」と揶揄される観一高が本当の意味で「進学校」になるためには、先ずは、運動中心のゆる~い校風を早急に改めて勉強中心の校風を作ることが何より必要であるし、これは観一高の教職員がその気になればかなりの部分はすぐできることである。以下は邪推であればよいのだが、現在の観一の主要教科を担当する教員のほとんどは高松高校や丸亀高校の出身者であろうが、本当は母校で教鞭をとりたかったのに香川の西の果てに島流しにあったなどと被害者根性で仕方なく授業をするのではなく、自分の力で観一を本当の進学校にして見せるぐらいの気概が欲しいところだ。

 もう一つは、入学定員の問題である。地元の反対、教職員組合の反対等、定員を減らすことに対しては色々難しい事情はあろうが、運動中心で楽しく観一生活が送れればいいというこの何とも言えないゆるーい校風を改めるためには、生徒の大半が勉強優先の高校生活が送れるよう定員の大幅な削減という荒療治が不可欠であると思う。高校生活を楽しく遊んで過ごして、Fラン大学へ進み、最終的に非正規労働者へまっしぐらでは可哀想なのは結局生徒自身なのであるから、彼らをちゃんと教育する責任がある大人達こそが考えるべきことである。

2018.1.17

K1高 余計な1年 200万