映像授業の問題点

 今や学習塾業界では、パソコンやdvdを使った映像授業が大流行していますが、映像授業の問題点は何でしょうか。
 私が思うには、例えば、わからないところについて質問ができない、ついウトウトしてしまうなど誰でもが思いあたる問題点のほかに、何より注意するべきことは、学習者の思考力が停止してしまうことではないでしょうか。いや、映像授業を見ながら問題を解いているよと思われるかも知れませんが、本当にその設問を自分の頭で考えているでしょうか。映像の中の講師の模範解答を覚えようとしているだけではないでしょうか。
 これは何も映像授業に限った問題点ではありませんが、模範解答を覚えることでは、本当の学力はつかないのです。入試問題を解くに当たっては、塾や参考書の短縮された模範解答をそのまま使って解けるということはほとんどないと考えなければなりません。他人の解法は、あくまでその人の解法であって、それを覚えたところで、本当の力にはなっていないのです。特に映像授業の場合は、学習者の頭にふと疑問がわいた時に講師に質問することもできず、そのままになってしまうため、せっかく自分の頭からわいて出た疑問が生かされることもなく消えることになります。また、せっかく不十分ながら自分で考え出した解答について指導を受けることができないため、そのままになってしまい、これらが重なるうちに、自分の頭で考えることが無駄なように思えてきて模範解答に飛びつくくせがつき、やがては自分で考えることをやめてしまうようになるのです。

 本当の学力をつけるためには、学校の教科書で習った基礎知識を使って、自分の頭を絞りに絞って答えを導き出すことが大切です。
 映像授業は、十分知識のついた学習者が自分の理解の整理のために使うのであればそれなりに有効でしょうが、その段階に達していない者が盲信するのは考えものだと思うのです。2014.01.29