校外模試って、いったい誰のため?

 これまた呆れることだが、K1高の生徒は校外模試を受けまくっている。1年の時から始まり、上の学年に進むにつれて多くなり、3年生などは定期試験か実力テストがない限り、ほとんど毎週末は校外模試という生活を送っている。受けることに精一杯であって、ちゃんと見直す時間もない。分厚い解説書を貰っても積んどくだけ。何週間か後に帰ってくる結果と志望校の合格可能性判定に落ち込んでいるだけである。そもそも容量の少ない電池なのに、放電ばかりしていて充電していないのである。

 筆者は、K1高がなぜ保護者に多額の金を使わせてまでこんなに多くの校外模試を受けさせるのか常々不思議に思っていた。校外模試などというものは、それを実施する大手予備校が模試の実施による金儲けのため、併せて全国の高校生の情報を収集してその営業に使用せんがためにやっているものであって、K1高の教師達がそのことを知らないはずがないのである。

そんな折、最近ある保護者から聞いたのであるが、模試の受験料は年度初めに、他の学校関係の経費と一緒に、一括して徴収されているとのことである。学校が徴収するのだから絶対に払わなければならないものと思い込んでいたようだ。お金が先取りされているから、受けないと損をする気がして、無理をしてでも受けさせているそうだ。保護者としては無理からぬことであるが、その結果、生徒は模試を受ける度に自信を喪失していき、やがては名前を書けば合格させてくれる3流大学へ推薦で行ければいいやとなるのである。筆者は、この話を聞いて合点がいった。100万単位の授業料を一括先払いさせる大手予備校の営業戦略と一緒ではないかと。

 民間企業である大手予備校が営業戦略の一環として模試を大々的に実施して金儲けするのは自由であるが、情けないことは公務員であるK1高の教師達が模試受験料の徴収に協力していることである。まさか伝統ある我が母校の教師達が先頃問題となった大阪桐蔭高(模試受験料の一部を業者からキックバックさせて私的に使っていた。)のようことをやっていることはないだろうが、いくら生徒の進学指導のためという名目があっても、年度初に模試受験料を一括先払いさせる予備校の営業に協力するのはやり過ぎである。校外模試などというものは、受けたい人が受けたい時に勝手に受ければいい(それも最小限でよい)のであって、何も知らない生徒や保護者がすべて受けざるを得ないようにしようとする民間企業の金儲けに公務員が協力するなどということは決してあってはならないのである。それともこのようなことは、K1高に限ったことではないのだろうか。だとしたら、県教委の役人自体が、大げさな言い方かも知れないが、公務員の魂を売り渡したことになる。

李下の冠、瓜田の履である。校外模試の受験料の一括徴収への協力など、来年度からは絶対にやめて欲しい。そして必要もない模試は受けないように生徒に指導して欲しい。

公立高校の1年生や2年生が学習進度の異なる私立中高一貫高の生徒と一緒に校外模試を受けても全く無意味である。3年生でも数を絞って最小限受けるだけでよい。所詮は予備校が作る試験問題である。センター試験に匹敵するものではない。ましてや、大学毎に異なる個別2次試験には対応できない、一般的な試験問題でしかないのである。K1高は生徒を校外模試漬けにして自信をなくさせることに力を貸すのではなく、もっと日々の授業の中で基本問題がきちんと解けるように指導すべきである。もっとも、校外模試の多くは土曜日だから教師達は家でのんびりお休みか。

模試助け 何かいいこと ありそうな

2015.12.9

 追記 そういえば、大手予備校は、税金で建設運営されている高校の校舎を利用して、正々堂々と模試という商売をやっているわけだが、その施設使用料 はどうなっているのだろうか。県の収入になっていなければならないはずだが。まさか、無料にする代わりに・・・なんてことはないだろうが。