元塾生の学歴を誇るのに

  自塾講師の学歴を誇れない怪しい塾

   最近の塾の宣伝チラシには、塾での指導の中心となる自塾講師の学歴については一切明らかにしないまま、塾生の合格実績を誇るため特にたまたま過去に在籍していたに過ぎない国立大学医学部合格者を引っ張り出しきて、いかにもその塾の指導が良かったから合格したかの如く宣伝しているものが目に付く。国立大学医学部合格といっても一般入試で正々堂々と合格した者と地元優先枠を最大限に有効利用して推薦入試で合格した者とでは実は大きな実力の差がある(筆者は国公立大学医学部入試における地元優先枠の制度は違憲ではないかと思っている)のだが、ここではそれは置いておこう。

   問題は、たまたま過去に在籍していたに過ぎない生徒の合格先は大々的に宣伝するが、肝心な自塾講師の学歴については一切触れないその宣伝手法のずるさと浅はかさである。要するに当塾には大した学歴の講師はおりませんと言っているようなものなのに、それが分かっていない。いや、分かっているが、それをオープンにすれば塾生が確実に減ることを知っているからオープンに出来ないのである。自分には誇れる学歴がないものだから、他人の学歴をまるで自分のものであるかのごとく誇るのである(He brags of another persons academic background as if he himself had it .)また 、そのような塾に限って、自分は経験すらしていない難関大学合格に向けた受験生の心得を偉そうに説く( He conceitedly preaches how to pass the entrance exam as if he himself had passed it.)。要するに全てが仮定法の世界(=うその世界)なのである。塾長のように自らが東大入試を突破し、我が子3人も国立大医学部医学科に合格させてきた者からみれば、そんな人間のするいい加減な説教は、所詮は他人のふんどしで相撲を取っているだけで、難関大学入試の本当の厳しさを全く知らない、ただの戯言(just a muscular brain nonsense)に過ぎない。

 ところが、情けないことに、塾探しをしている保護者はその辺りの事情に疎いものだから、国立大学医学部合格者を出した塾ならうちの子の成績も上げてくれるものと錯覚して子供を入塾させてしまう。その結果、その子は講師の学歴もはっきりしないような怪しい塾の「指導」とやらを延々と受け続け、その塾の繁栄に貢献することになるのである。まあ、そんな保護者は、お金だけは持っているものの、自身まともな大学に行っていないのだから、このような怪しい塾の宣伝文句に簡単に引っかかるのも無理もないが。

 さらに、当地でも今や東京の大手予備校の映像授業が大流行だが、その合格実績などと称するものも実は嘘ばかりだということも御存知ないようだ。実際は、東京や大阪の高偏差値の中高一貫私立高生を対象に、模試を受けてもらうことを条件に映像授業の無料受講券をばらまいて合格実績とやらを稼いでいるに過ぎないのに、無知な保護者達は、自分の子がこの映像授業を受ければ有名大学に合格するかもと思い込んで大枚はたくのである。

 保護者の皆さんも、たまには自分の子が実際はどのような講師に教わっているのかチェックしてみたほうがいい。実は高校時代にあなたより成績の悪かった人間が指導しているかも知れないのだから。さもないと、延々と大枚はたいて塾通いさせたものの、結局は金を払って名前さえ書けば合格になるような3流大学に推薦で行くしかなくなるのである。

我が塾は 生徒優秀 講師あほ

 2015.9.17