指定校推薦の闇

 現在の大学入試では、特に私立大学を中心に、公募推薦、AO入試、指定校推薦等ほとんど或いは全く学力試験を課さない入試が幅を利かせており、私立大学の入学者の約6割はまともな学力試験を受けていない。しかも、そのほとんどはいわゆるFラン大学という行く価値のない大学であって、割り算も満足にできない学生を粗製乱造しているのである(そして、その先には1時間800円の非正規雇用が見えている)。受験生当人が希望し、保護者も納得しているのだから、他人がとやかく言う筋合いはないのであるが、何とも情けない時代になったものである。

 ところで、上記の試験の中で、唯一高校サイドが主導権を握っているのが指定校推薦である。大学サイドがあらかじめ学部学科と人数を指定して高校サイドに推薦を依頼するもので、高校から推薦された生徒はよほどのことがない限り合格が貰える。事実上、高校内での選考が大学入試に等しい制度である。大学からすれば一定数の定員を経費をかけずに満たすことができる、生徒からすれば睡眠時間を削って勉強し合格できるかどうか怪しい一般入試を受けなくて大学に行ける、そして高校からすれば進路指導の手間が省けるという三方一両「得」のよくできた制度である(もちろん皮肉である)。その多くはあまり人気のない大学や学部学科から募集があるのだが、中にはK1高のように歴史と伝統のある高校の場合には、もちろん年によって異なるが、東京のMARCHや関西の関関同立あたりからも募集があるようである。うまくすれば早慶クラスからもあるらしい。現在のK1高の生徒の学力からすれば高値の花であるような大学からの募集である。これらは筆者を含めK1高の諸先輩が一般入試で貢献してきたからこそのK1高の評価であることに現役の生徒達は感謝しなければならない。

 とは言うものの、問題はその運用である。校内選考が本当に客観的に公明正大に成績だけで行われているかということである。成績以外の要素が加味されていないのかどうか。さらに言えば、あってはならないことだが大人の事情が加わっていないのかどうか。何せ校内選考過程が全く見えず、全てがブラックボックスなのが気になるのである。事務作業の都合は分かるが、募集の公告が超短期間で写メも不可という。3年生全体に周知する気が本当にあるのか、有名大の場合特定の関係者にあらかじめ決まっているのではないかと疑いたくなるのである。学力以外の要素、例えば部活動の実績等も評価の対象なのかも知れないが、それにしても「何で彼があんな良い大学に」と思われる例も過去にはあったと聞く。

 以上があらぬ誤解であることを望むのだが、制度的には、校内選考が一般入試と同じ価値を持つ事実上の大学入試なのだから、何より公明正大にやってほしいものである。

正門を 通らず裏から 入る人

2018.9.20